朝の空気はどこか柔らかくて、心の奥にほんの少しの余裕をくれた。
その日、職場で新しいタスクを頼まれた。正直、初めての内容だったけれど、どこか焦りはなかった。
「まあ、お手伝いみたいなものだし、そんなに構えなくてもいいか」
自分にそう言い聞かせながら、机に向かう。周りの雑音も気にならない。むしろ、静かに集中できる時間が心地いい。
とはいえ、やっぱり不安はある。
やったことがないことに挑むとき、頭の中にいくつもの疑問が浮かんでくる。でも、そこで思い出すのは、今までやってきた別の仕事たち。
「たぶん、ここが間違えやすいところだ」
「この流れなら、こうした方がスムーズかも」
そうやって、これまでの経験が背中を押してくれる。
気づけば、いつの間にか手が動いていた。
誰かに聞く前に、とりあえず自分でやってみる。小さな作業だからこそ、失敗してもすぐに直せる。そう思えば、思い切って進められる。
少し経ってから、同僚が声をかけてくれた。
「それ、もう終わったの?早いね」
なんでもないような言葉だったけど、心の中で小さくガッツポーズをした。
その日の帰り道、ふと思った。
「みんなと同じことをやるのも大切だけど、自分だから気づけることもあるんじゃないか」
そう思えたことが、何よりの収穫だった気がする。
明日もまた、何か新しいことが待っているかもしれない。
でももう、少しの不安なら、経験と想像力でなんとかできる。
そんな気がしていた。





